アウフギーサー・みんなの増本さんにインタビュー!アウフグースに込めた思いに迫ります。

サウナ好きな人の多くが魅了されるアウフグースの世界。
高まるサウナブームのもと、サウナ―に熱い風を届けるアウフギーサーや熱波師さんも増えてきています。中には自分の〝推し〟のアウフギーサーさんがいるなんて人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、さまざまなサウナ施設でアウフギーサーとして熱波を届けている若きアウフギーサー「みんなの増本」さんにインタビューさせていただきました。
アウフグースの魅力から増本さんがアウフグースに込める思い、そしてアウフギーサーとして目指すこれからの夢などについて、たくさんお話を伺いましたので、ぜひご一読ください。

アウフギーサーになったきっかけは?

僕は熊本県出身なので熊本で大学に通っていたのですが、途中から自分は何を目指して勉強しているのかがわからなくなった時期があったんです。それで大学を一年休学することにして、その時に働いていた場所が「湯らっくす」でした。
もともと僕自身、温泉は好きでしたがサウナはあれば入るというくらいで、アウフグースについては全く知りませんでした。

湯らっくすで研修を受けている時にアウフグースを行うサウナ室に一緒に入ってそばで見ていたんですが、あまりの熱さに早く外に出たくて仕方ありませんでした(笑)。
でもだんだん熱さにも慣れていくうちに自分でもアウフグースをやるようになったんです。

実際に自分でやってみて知ったのですが実は熱波を受ける人よりも熱波を送るアウフギーサーが一番ととのえるんです!それから自分でもサウナによく入るようになりました。ですから僕の場合は、サウナが好きでアウフギーサーになったのではなく、アウフグースを知ってからサウナが好きになっていった感じです。

アウフギーサーの魅力

アウフグースをしていて楽しいと思う瞬間は2つあります。一つは、アウフグースの最中に、思い描いていた通りに技が決まり、お客さんと僕とサウナ室が一体になる瞬間です。その瞬間はなんともいえない気持ち良さで包まれます。もう一つはやっぱり僕のアウフグースを褒めてもらえた時ですかね。

僕としてはこのアウフグースをする側の楽しさをもっと多くの人に知ってほしいという思いがあります。それが僕がアウフギーサーとして活動する原動力にもなっています。

熊本から関東へ進出

湯らっくすで2年半働かせていただき、昨年4月にザ・ベッド&スパ 所沢(以下ベッスパ)で働くことになりました。九州にもたくさんサウナ施設があるのですが、広いエリアの中に各施設が点在しているので、アウフギーサーとしてイベントに参加しようとしてもどうしても制限されてしまう部分がありました。それでもっとアウフグースがしたいとの思いがあったので関東へ進出することにしたんです。

さまざま検討した結果、最終的にベッスパに決めました。理由は、実は熊本にいた時からアウフグースを教える機会をつくりたいとも思っていたんです。それで教える機会をつくってくれる施設を探していたところ、ベッスパができるということになって、所沢を拠点にすることにしました。実はこの4月でベッスパは卒業して、今後は新たな場所で活動していきます。

アウフグースアカデミーはどんな人が受講してるの?

アウフグースアカデミーは初級、中級、上級とクラスがあって、上級のあとに僕の見極めがあります。見極めをクリアした人はアウフギーサーとしてデビューできます。アカデミーを受ける人の半数は単純に僕のアウフグースを受けて自分も習ってみたいという人で、あとの半数は、どこかの温浴施設やサウナ施設で働いていて、アウフグースの技術を身につけたい、あるいはもっと向上させたいという人です。

デビューは考えていないけど友人とテントサウナをする時にアウフグースをやってみたいという理由で受講する人もいますので、受講目的は人それぞれですね。

これまで約1年くらいの期間で、受講した生徒数は50人くらいいます。その中で実際にデビューに至った人は4人しかいません。僕の見極めは結構ハードルが高いので、簡単にはクリアできないと思いますが、そこまでに至らずともアウフグースの楽しさを知ってもらい、そこからまたさらにアウフグースの魅力が多くの人にさらに広がっていってくれたらいいなと思っています。

実際の仕事内容

僕の場合は、まずは勤務する施設での業務がありました。アウフグースの時間を受け持つことのほかに、フロント業務やバックヤードの仕事なんかもしていました。こうした業務が半分でもう半分はフリーランスのアウフギーサーとしても活動しています。

アウフギーサーとして施設さんから依頼があった場合に、スケジュールを調整して、当日に向けた準備を行います。曲や使用するアロマなどを決めて、演出を考えて当日に臨みます。

アウフギーサーのギャランティについては、ここでは詳細は控えますが、基本的には拘束時間やアウフグースの回数によって違います。とはいってもある程度の相場はありますね。あとは最近では有料アウフグースを開催している施設もあるので、そういった場合には参加費✕参加人数の全額(もしくは一部)がギャランティに上乗せされたりもします。

熱波師とアウフギーサーの違いは?

基本的には野球とベースボールの違いと同じだと思ってもらっていいと思います。アウフグースの発祥はドイツですが、日本にアウフグースが輸入された時に、ベイスボールを野球と訳したのと同じように、アウフギーサーが熱波師と呼ばれるようになりました。熱波師かアウフギーサーかどちらを名乗るかはその個人の選択となります。

その上で、アウフグースには、オールドアウフグースとショーアウフグースとがあり、オールドアウフグースは、蒸気を発生させ、それを撹拌させながら、基本となるタオルの扇ぎ方でで風を受け手に向かって送ります。

一方でショーアウフグースは、ただ蒸気を撹拌させて扇ぐだけでなく、そこにストーリーや演出、音楽を加え、さらにアロマを含ませたロウリュウで香りを届けるなど、〝魅せる〟要素が加わったものです。ですからタオルをクルクル回すのはショーアウフグースの特徴の一つです。

ただ、タオルを回すのは魅せるためだけの行為ではなく、しっかりと撹拌させる役割も担っています。中間層に降りてきた蒸気を撹拌させるためにタオルを回すんですが僕の感覚としては、8割が撹拌のためで2割が魅せるための技という感じです。ですから回している時も蒸気が今どのへんにあるのかを見定めながら、それをしっかり撹拌させることを常に意識するようにしています。

アウフグースをする時、男性向けと女性向けで違いはあるの?

アウフグースをしていると、男性と女性とでは熱波の受け方に少し違いがあるように感じます。男性の場合は、どちらかというとガツンとくる熱さを求めている人が多いので、なるべく素直なアウフグースをするように心がけています。ですから蒸気でサウナ室内を熱くしていって、一人一人に向けてしっかり風を送っていきます。

一方で女性の場合は、マイルドで心地よい風を好む人が多いように感じます。その場合は、優雅な感じを意識して、タオルを投げたりする大技よりも、つなぎ技を意識しながらなるべく華麗に見えるように心がけています。

女性は日頃男性アウフギーサーの風を受ける機会が少ないからかもしれませんが、女性向けにアウフグースをすると、男性よりも反応が大きくて、タオルをちょっと回すだけでも歓声や拍手をしてくれるんです。これはやっぱり嬉しいですね。その点でいえば、男性の場合は、日頃からアウフグースに対して目が肥えてる人が多いからなのか、ちょっとタオルを回したくらいではなかなか歓声まではあがりません(笑)だからこそつい大技を披露したくなっちゃうのかもしれません。

そう考えるとアウフグースを受けに来るのが男性で、アウフグースを観に来ているのが女性といえるのかもしれません。

アウフグース世界大会の日本予選が初開催!!

アウフグース世界大会「AufgussWM」の予選が初めてアジアの地で開催されることになりました。この大会はアウフグースの世界一を決める大会として2019年から行われていましたが日本で予選が行われれるのは今年が初です。僕もすでにエントリーをして、7月に行われる予選に向けて日々練習に励んでいるところです。

強豪国となるのはやはり発祥国のドイツです。ドイツのアウフギーサーは基礎レベルがとても高いんです。あとは最近ではポーランドやハンガリーも高い技術を誇っています。でも日本のアウフギーサーも日々進化しています。僕としては日本一を目指し、いつかは世界一になりたいと思っています。

アウフグースの先頭を走り続けたい

今、サウナブームが押し寄せている中で、それに付随してアウフグースもかつてない盛り上がりを見せています。今回、ついに日本でも世界大会に向けた予選が開かれることになり、本当に嬉しく思いますし、ワクワクしています。

この大会を契機にアウフグースの魅力がより多くの人に伝わってくれたら嬉しいです。僕もこの大会で良い結果を出し、その姿を通してアウフグースの楽しさを伝えていきたいと思っています。

僕は現在23歳なので、アウフギーサーとしてはまだ年齢的には若い方に入りますがそれでも僕はアウフギーサーとして常に先頭を走っていたいと思っているんです。そして自身をさらに成長させながら、日本のアウフギーサー全体の基礎力を高めていくことにも貢献していきたいと思っています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

みんなの増本さんのインタビューはいかがでしたか?
アウフグースに込めた熱い思いを聞いてからアウフグースを受けるとさらに体感温度があがるかもしれませんね♪

みんなの増本さんのTwitterはこちら
https://twitter.com/MyProcherrix

撮影:奥谷宏

この記事を書いた人

takeo

ライター。サウナに魅了されて以来、ほぼ毎日のようにどこかのサウナ施設で原稿書いてます。